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elisa ベンチレータ 500
日本赤十字社 神戸赤十字病院 麻酔科 副部長 杉山 淳一 先生
地域医療連携室 看護係長 クリティカルケア認定看護師 吉村 宙 さま

  • 掲載:2024年07月
  • 文責:カスタマーソリューション推進部
elisa ベンチレータ 500<br>日本赤十字社 神戸赤十字病院 麻酔科 副部長 杉山 淳一 先生<br>地域医療連携室 看護係長 クリティカルケア認定看護師 吉村 宙 さま
    

日本赤十字社 神戸赤十字病院
麻酔科 副部長
杉山(すぎやま 淳一じゅんいち) 先生

地域医療連携室 看護係長
クリティカルケア認定看護師
吉村(よしむら ひろし) さま

[ 神戸赤十字病院 施設概要 ]

所在地: 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目3番1号

病床数: 310 床(災害時500 床)うちICU 10 床
地域医療支援病院、基幹災害拠点病院、臨床研修指定病院、DPC 対象病院

「わたしたちは、医の倫理と人道・博愛の赤十字精神にもとづき、みなさまの健康に奉仕いたします」を基本理念として、2003年(平成15 年)、HAT 神戸に開院した神戸赤十字病院は隣接する兵庫県災害医療センター(高度救命救急センター)とともに地域を支える病院として努力し、開院から20 年を経過しました。
近隣の医療機関と連携協力して急性期医療を中心とした質の高い医療を提供し、人材を育成しながら、HAT 神戸に根付いた中心的病院になるように頑張ってきた病院です。また近年においては新型コロナウィルス感染症に対して地域の皆様と共に対応しました。


[ 日本赤十字社 神戸赤十字病院 webサイト ] https://www.kobejrc.jp/

elisa ベンチレータ 500の運用について

2021年7月に販売を開始したelisa ベンチレータ300/500(以降、elisa)。本体はコンパクトでありながらパワフルな換気性能を備え、挿管人工呼吸だけでなく HFNC や NIV も搭載し、幅広い領域でご活用いただける人工呼吸器です。

今回、elisa 500を7 台ご採用いただいた日本赤十字社 神戸赤十字病院 麻酔科 杉山先生と、ICU(現:地域医療連携室)吉村看護師に、elisa のご使用状況について教えていただきました。

杉山先生、吉村看護師
elisa

elisa の導入経緯と選定時のポイントについて教えてください。

杉山医師
▲杉山医師

[ 杉山医師 ] 当院は従来Medtronic 社のPuritan Bennett TM 840 series と、NIPPV 専用器としてPhillips 社 V60 を病棟、ICU で稼働させていました。
経年劣化で故障も増え、機器更新が必要な時期となり呼吸器の選定を行いました。
選定条件として、安全は大前提。加えて、操作が簡便で操作エラーが起きにくいこと、病棟に空気配管が少ないのでコンプレッサー駆動で静かなこと、それなりにNIVもできること、大きすぎないこと等を選定条件に数社の人工呼吸器を選定の対象にしました。
多くの呼吸管理が術後、軽症管理または安定した病棟での長期人工呼吸管理であることから elisa を選定しました。

以前の人工呼吸器から elisa へ移行する際に、なにか問題はありましたか?

[ 杉山医師 ] やはりモード名が呼吸器ごとに異なるので、看護師に混乱はありましたが、操作方法に関しては大きな問題、トラブルはなかったです。
器械の構造上、呼気弁前にデフォルトのフィルター、収集バイアルが無いことが今までと大きく違うため、elisa には呼気弁前にウォータートラップ付きのフィルターを付けて使用しています。

[ 吉村看護師 ] 患者への看護ケアや人工呼吸管理においての問題はなかったです。当院では、人工呼吸管理を主に ICU で行っています。しかし、部署によって症例数は異なりますが、一般病棟で人工呼吸管理を行うこともあります。
今回、elisa への移行は ICU から実施しました。
そして、ICU の看護スタッフからの意見を基に、使用頻度の高いまたは現在、人工呼吸管理患者が在室している一般部署へ拡大しました。
その後、一般病棟の看護スタッフからの意見を基に、使用頻度の低いまたは現在、人工呼吸管理患者が在室していない一般部署へ拡大しました。徐々に拡大した理由、一般病棟の看護師において、人工呼吸器の変更・移行は大きなイベントの1 つであり、不安が強いためです。
この全ての工程において、IMI 社の方に全部署で2 回の説明会を実施していただきました(大変なお手数とご足労をおかけしました、感謝しております)。
以上のことより、安全に問題なく移行ができました。

患者
elisa

挿管からマスク(NPPV)まで、elisa 1台で呼吸管理をされていますが、何がきっかけだったのでしょうか?
また、それによる変化やメリットがあれば教えてください。

[ 杉山医師 ] NIV専用器が2 台しかなかったことがきっかけで、elisa のNIVモードを使うようになりました。elisa は忍容性もよく、elisa のみで多くの症例の治療を完了できています。
1 台で様々な状況、状態に対応できるため救急外来や病棟急変などの初期対応時に柔軟に対応できるようになったと感じています。

[ 吉村看護師 ] 1 度だけ、抜管後の翌日に NPPV 管理を実践しました。
当院の ICU では、HFNC 使用または酸素がweaning できていない場合を除き、抜管後2日目頃を目安に人工呼吸器を片付けています。しかし、今事例は抜管後翌日に呼吸筋疲労に伴う二酸化炭素の貯留を認めたため、ベッドサイドにある elisa の NPPV を使用することになりました。
当院で NPPV を使用する場合は NPPV 専用器を使用してきましたが、1 台で管理できることは機器や回路などの準備が必要なく、スムーズに導入できるメリットを感じました。

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良い点、悪い点、気をつけていること等、ポイントを教えてください。

[ 杉山医師 ] 良い点は、挿管人工呼吸へ移行するときにそのまま呼吸器と呼吸回路が使用できることです。また、コンパクトなので、酸素ボンベを付けた状態でエレベーターによる CT 室への搬送もシームレスに安全に管理ができるようになったことがメリットです。CT 室内ではジャクソン換気する必要がなくなり、医療者の被曝も減らせています。
悪い点は、呼吸器の構造の違いを理解し、呼気側回路の結露が多い場合は注意が必要となることです。

吉村看護師
▲吉村看護師

[ 吉村看護師 ] 私の場合、関わった事例が1例であるため、[良い点][悪い点][気をつけていること]等のポイントはないです。
強いて言えば、IPAP・EPAP設定の専用器の場合と異なり、elisa は挿管型の人工呼吸器と同じ設定で行えるので、ICU スタッフは思考を切り替えずに済むのが良い点だと感じています。

NIV管理をされるのはどのような症例でしょうか?

[ 杉山医師 ] 2 型呼吸不全、clinical scenario 1心不全、長期人工呼吸抜管後のweaning などです。

リークありきのNIV環境下で、NIVに求めるポイントはどんなことですか?

[ 杉山医師 ] 忍容性に影響する呼吸のしやすさ、追従性の良さが重要と思っています。elisa はその点、専用器と完全に同等とまではいかなくても十分な追従性を有しているという印象です。

これまでのNIV管理の際に気をつけていたことは何ですか?

[ 杉山医師 ] 挿管、人工呼吸へのタイミングを逃さないようにすること、また嘔気、呑気の有無や、咳嗽の妨げになっていないかに気をつけてNIV 管理を行っています。

[ 吉村看護師 ] 看護師として気をつけていることは、導入時の説明とマスクフィッティングと考えています。

elisa でマスクを使い始めたとき、なにか不便を感じましたか?

[ 吉村看護師 ] 不便さは全く感じなかったです。

挿管型人工呼吸器でNIV換気を使用できることのメリットを教えてください。

[ 杉山医師 ] 呼吸不全への初期対応時に1 台で柔軟に対応できるようになったことがメリットとして感じています。
それによって、病棟での管理症例も増えました。

[ 吉村看護師 ] 器械が変わらないことで設定項目や設定値が同じであることが最大のメリットと考えています。

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NIV管理の成功や挿管へ移行のタイミングについて、ご施設の基準や先生の考える指標を教えてください。

[ 杉山医師 ] 施設としてのルールは特に設けていないです。
NIV 開始後も呼吸努力の軽減が得られない場合や痰の喀出ができない場合、意識障害や本人の忍容性が得られない場合は挿管人工呼吸に移行しています。

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elisa 500内蔵の自動カフ圧コントローラーを使用いただいていますが、人工呼吸器にカフ圧計が内蔵されていることは有用と思われますか? 理由も含めて教えてください。

[ 杉山医師 ] はい、有用ですね、カフ圧が抜けたときもアラームが鳴るため分かりやすいと感じています。今まで使用していた呼吸器でも外付けのカフ圧コントローラーを使用していたため、特に問題なく使用できています。

[ 吉村看護師 ] 当院では、外付けの自動カフ圧計が2 台ありますが、3 名以上の患者が人工呼吸管理をする場合、カフ圧管理の必要性を検討、または早い者勝ちの状況でした。
そんな中、elisa には自動カフ圧コントローラーが備え付けられているため、3 名以上の患者にも厳重なカフ圧管理が実践できて有用だと考えています。また、一般病棟でも同様のカフ圧管理が実践できるので有用だと感じています。

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EtCO2も elisa で測定されているとのことですが、病棟でCO2を測定するメリットを教えてください。

[ 杉山医師 ] 病棟では血液ガスが頻回に測定できないため、呼吸状態の評価や安全管理の面で有用と考えています。
これまでカプノメーターのアダプタはディスポーザブルでしたが elisa のアダプタはリユーザブルとなっていることから、こういった仕様の周知ができるまで現状では病棟を限定して運用している状況です。
いずれは全病棟へ拡大予定です。

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最後に、導入を検討されているご施設へメッセージをお願いいたします。

[ 杉山医師 ] elisa は呼吸不全への初手として使いやすく優秀です。
また、空気配管も必要ない上に動作音も比較的静かなため慢性期病棟への移行もスムーズになり、病棟の人工呼吸器は基本的に elisa を使用するようになっています。
スマートフォン操作に慣れた世代の方が elisa の操作への順応は早いといった印象です。
様々な「換気モード設定」「測定機能」が、オプションではなく全部入った状態で販売されています。重症呼吸不全管理を目的に選定した他社呼吸器との使用感の違いは、加温加湿時の呼気フィルター性能などの構造上の違いくらいなので、ICU でも使用しています。
システムのアップデートが可能で、様々な変更や改善を行っていくことが見込まれるため、今後の対応にも期待しています。

[ 吉村看護師 ] elisa の導入前に当院で使用していた人工呼吸器は、酸素配管と空気配管が必要でした。そのため、検査時や病棟間移動時の移送には、その環境やスタッフ構成によって用手換気が必要でした。しかし、elisa に変わったことで移送時に用手換気が可能なスタッフを調整する必要がなくなったことは ICU だけでなく、一般病棟においても大きな変化だと考えています。
また、非常に主観的な感想ですが、今の若いスタッフはスマートフォンやタブレットの操作が日常となっています。
その影響なのか(?)タッチパネル画面があることで、人工呼吸器に慣れていない部署の若いスタッフの理解が早いと感じました。
最後に、前述したことですが、人工呼吸器が変わるということは看護師にとって大きな変化であり不安材料でもあります。
そのため、各施設に応じた医療安全の観点と臨床スタッフの心理的安全を優先した導入方法のご検討をお願いしたいです。

お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

アイ・エム・アイ株式会社 IMI.Co.,Ltd

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