令和6年度診療報酬改定の概要について③
- 掲載:2024年06月
- 文責:事業開発部
![令和6年度診療報酬改定の概要について③](https://www.imimed.co.jp/wp-content/uploads/2024/06/ill_medical-fee-2024-3_eye.jpg)
前回に引き続き、令和6年度診療報酬改定についてトピックスをまとめます。
今回は、在宅医療領域の改定について取り上げ、その概要と意図について説明します。
・「訪問料」から、往診料の改定
・「医学管理料」から、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の改定
・「指導管理料」から、在宅ハイフローセラピー装置加算
(赤字は主な改定箇所を示します)
在宅医療の診療報酬は、以下のように3種類の評価の組み合わせから成り立っています(図1参照)。
① 訪問して診療を行ったことに対する評価 *本稿では「訪問料」と記載
② 総合的な医学管理に対する評価(療養上必要な指導や情報提供)*本稿では「医学管理料」と記載
③ 特別な指導管理に対する評価(専門的、特殊な医療行為についての指導)*本稿では「指導管理料」と記載
<図1>在宅医療の診療報酬の成り立ち
![](/wp-content/uploads/2024/06/medical_fee_2024-3-img01.jpg)
在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所の定義
まず在宅医療で中心的な役割を担う在宅療養支援病院(以下、「在支病」と記載)及び在宅療養支援診療所(以下、「在支診」と記載)について確認します。いずれも在宅患者に対し24時間対応が可能な医療機関です。
平成18年度の改定で診療報酬上に位置付けられました。24時間連絡・対応可能で、「機能強化型」の在支病・在支診は常勤医師3人以上、緊急往診、看取り等一定の実績要件を満たすことが求められます(図2参照)。
<図2>在支病・在支診の施設基準
往診料の改定
訪問料では「往診料」について改定がありました。往診料は「患者又は家族等患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合の評価」です。
[往診を行う医療機関において過去60日以内に「在宅患者訪問診療料(定期的ないし計画的に患家へ赴き診療を行う場合の評価)」を算定している][往診を行う医療機関の外来において継続的に診療を受けている][往診を行う医療機関と平時からの連携体制を構築している介護保険施設等に入所している]患者に対する往診という条件が付与されました。
在宅ターミナルケア加算及び看取り加算については、従前は在宅患者訪問診療料への適用のみでしたが、往診料においても退院時共同指導を前提に加算が可能となりました(図3参照)。
<図3>往診料の概要
在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の改定
在宅時医学総合管理料は、診療所、在支病、200床未満の病院(在支病を除く)が、在宅患者(特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホームその他入居している施設において療養を行っている患者を除く)を定期的に訪問診療・医学管理を実施した場合に算定するものです。
施設入居時等医学総合管理料は、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(A型に限る)、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型共同生活介護事業所の入居者、短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護のサービスを受けている者を定期的に訪問診療・医学管理を実施した場合に算定するものです。いずれも同一日の訪問人数に関わらず、単一建物(集合住宅等含む)で訪問診療をしている当月の全体患者数で点数区分を算定します。
今回の改定で、単一建物診療患者の数が[10人以上19人以下][20人以上49人以下][50人以上]の場合の評価を新設するとともに、実態に合わせて点数の見直しも実施されています(図4参照)。
<図4>在宅時医学管理料・施設入居時等医学管理料の概要
在宅療養指導管理料加算の改定
在宅療養指導管理料加算は、基本的には在宅療養指導管理料に付随して、必要かつ十分な量の衛生材料・保険医療材料を支給した場合に加算されます。令和4年度改定で新設された「在宅ハイフローセラピー装置加算」について、材料の実勢価格及び使用実態等を踏まえ見直しがありました。
これまでは一律1,600点でしたが、「自動給水加湿チャンバーを用いた場合」は3,500点、それ以外については2,500点に改定されました。加算が材料コストをカバーできない点数であることが指摘されており、今回の改定で供給者のコスト相当の点数に改定となりました(図5参照)。
<図5>在宅ハイフローセラピー装置加算の改定
まとめ
2025年以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護需要がピークを迎えます。このような医療・介護需要に応えるべく、地域医療構想では都道府県に医療計画の策定を義務化しています。
「第8次医療計画」では5疾病6事業に並んで「在宅医療」が明記されています。在宅医療需要の増加に対応し、地域の実情に応じた在宅医療体制の整備が進んでいくものと推察されます。
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